公営住宅は退去時に原状回復が必要ですか?
公営住宅の退去時には、民間賃貸住宅と同様に原状回復が義務付けられています。民間賃貸住宅との最大の違いは、原状回復の範囲に通常損耗が含まれる点にあり、自治体ごとに細かなガイドラインが制定されています。
これは、民間賃貸住宅では、通常損耗による貸主の損失が毎月の家賃に含まれているのに対し、公営住宅ではその特性から、この損失分が家賃に含まれていないためです。よって、公営住宅の退去時にかかる費用は民間賃貸住宅に比べると、どうしても高額になりがちです。
「畳の表替え」や「ふすまや障子の張替え」、「ガラスのはめ替え」などの費用を入居者負担としている自治体も少なくありませんので、入居前に確認しておくと良いでしょう。現状回復の範囲は、通常、入居時に配布される「入居のしおり」にも掲載されています。
参考までに、以下は工事内容ごとの費用相場です。
【費用の目安】
工事内容 | 費用相場(目安) |
畳の表替え | 1畳につき、5,000円~20,000程度 |
障子の張り替え | 1枚につき、3,000円〜4,500円程度 |
ふすまの張替え ※普通サイズ(高さ190センチメートル、幅95センチメートルまで)の襖を想定 |
片面で、3,000~4,000円程度 |
ガラスのはめ替え ※大きさや厚み、種類によります |
1枚につき、13,000~30,000円程度 |
公営住宅を退去する際には、事前連絡の上、指定期日までに退去届の提出が必要です。その後、指定日に公社職員が退去立会い検査を行います。立ち入り検査で指摘された箇所は、退去日までに必ず全てを修繕しなければなりません。
経験や技術がある場合は、ふすまや障子の張替えを自分で行うのもひとつの手段です。
ただし、例外として、新規募集を停止している老朽住宅(現入居者の退去後、取り壊しや集約・建替えが予定されている住宅)の場合は、退去時の修繕が不要になる可能性があります。