年収によって県営住宅や市営住宅の家賃が変わるんですか?
公営住宅の家賃は入居者の収入によって変動します。このため、同じ住宅内の同じ間取りの住戸に住んでいても、世帯収入が異なれば、家賃も異なります。公営住宅に入居するための収入基準は、控除後の月収が158000円以下(高齢者や障がい者などの裁量世帯の場合は214,000円以下)であることが一般的です(例外もあります)。
下記は基礎額ですが、このように月収額が高くなるにつれ、一般賃貸と大差ない金額に近づいていきます。
収入区分 | 政令月収 | 家賃算定基礎額 |
区分1 | 104,000円以下 | 34,400円 |
区分2 | 123,000円以下 | 39,700円 |
区分3 | 139,000円以下 | 45,400円 |
区分4 | 158,000円以下 | 51,200円 |
区分5 | 186,000円以下 | 58,500円 |
区分6 | 214,000円以下 | 67,500円 |
区分7 | 259,000円以下 | 79,000円 |
区分8 | 259,000円超過 | 91,100円 |
入居後、収入が基準額を超過した場合、家賃はどうなる?
入居後、思いのほか収入が増えて、基準額の範囲内に収まらなくなる場合もあるでしょう。公営住宅では、入居者の収入が基準額を超過した場合、状況次第では最終的に住宅の明け渡し請求が行われます。
公営住宅法では、次のように定められています。
第二十九条 事業主体は、公営住宅の入居者が当該公営住宅に引き続き五年以上入居している場合において最近二年間引き続き政令で定める基準を超える高額の収入のあるときは、その者に対し、期限を定めて、当該公営住宅の明渡しを請求することができる。
引用:公営住宅法 |
流れとしては、入居後3年を経過した時点で、収入分位25%以上の入居者は、「収入超過者」と認定されます。低額所得者ではなくなった収入超過者には、収入額に応じて段階的に賃料が上乗せされ、市営住宅を明渡すよう努力してもらう努力義務が発生します。
さらに、入居後5年を経過し、直近2年間の収入分位が60%以上の入居者は「高額所得者」と認定され、「明け渡し請求」が行われます。期限を超過してもなお明け渡しに応じない場合は、公営住宅法第29条に基づいて、近隣にある同等の一般賃貸住宅の2倍以下の家賃額を徴収されることになります。
なぜ明け渡しが必要なのかというと、市営住宅は本来、住宅に困窮している低額所得者のために建設された住宅だからです。よって、当初の目的に沿って、住宅を必要としている方々へ提供していく必要があります。